取材日:10月31日
「Uスタでやりたかった」。今年度の総体、選手権ともにスタメン出場した西沢太耀(2年)は唇を噛む。「私立を倒したい、という気持ちがやっぱり強い。負けず嫌いなので」と、同じく出場した馬場悠生(2年)も強い思いを抱いている。共に涙した先輩たちを見送って、まだ10日あまり。後輩たちは早くも次なる一年へと準備運動に励んでいる。
選手権4回戦、松本第一を相手に1-0で前半を制しながら、後半に自分たちのミスから失点。1-1の同点からPK戦までもつれ込んだ末の敗戦だった。 「前半は無失点が目標。カウンター1発で決めきって守る感じなので、『先制しないと厳しい』と思っていた」。選手権でSBを務めた馬場はそう振り返り、「後半で集中力が切れてしまった」と悔やんだ。「もったいない失点だった」と西沢も口をそろえ、「簡単なミスをなくすよう、練習から厳しくやっていきたい」と気を引き締めた。
「勉強もがんばりたいし、それを言い訳にしたくない。こういうところで勝ちたい、と思ってここに来た」と西沢。 2019年にOB会が寄贈したという人工芝グラウンドは夜間照明も完備。県立の進学校として名を連ねつつ、サッカー班にとっても県下屈指の恵まれた環境を持つ。勉強との両立について中島拓磨監督は、「成長するチャンスは多いと思うので、両方とも逃げずにやってほしい」と見守る。「今年悔しくて涙した気持ちを、次の総体や選手権まで持って行ければ」と意気込む馬場も、来年の冬までユニフォームを脱ぐ気はない。
「新チームはまだ始まったばかり。目の前のことをしっかりやりつつ、選手たちがどこを目指したいのかに寄り添いながら決めていく」と中島監督。ひとつのステージを終えて、また次のスタートへと一歩を踏み出す。
中島拓磨監督 インタビュー
——選手権での手応えと、チーム作りについて教えてください。
中島:「よくがんばっていた」というのが率直な思いです。今年はリーグ戦の最初で勝てない試合が続いたので、守備重視のチーム作りをしました。今は新チームになって間もないので、特色や強みなどは「どうなっていくのかな」と探っている段階ですね。
——新チームになってからの方向性について、監督の方針は?
中島:現時点ではまだ見えてこない部分もありますが、相手を見ながら自分たちの強みをちょっとでも出せるように準備できたらいいなと思っています。これからまた新人戦を迎えつつ、来年の選手権までがこのチームなので、その姿を具体的に考えながらやっていこう、というのは選手たちにも伝えています。
——来年に向けて、選手たちに期待することは?
中島:今年のうちから総体や選手権を経験した子たちは中心的な存在でなければならないと思っています。特に今年の2年生は人数が多い中で、誰ひとり隠れることなくやる必要があるかなと。仲良しなので、あんまりガツガツしていないんですよ(笑)
——来年の目標を教えてください。
中島:選手たちがどこを目指したいのかに寄り添いながら決めていくことになると思います。とはいえ、やっぱり勝ったほうがいいですし「そのために何をやるか」を明確に持ってやっていけば本当に上手くなると思っています。目の前のことを考えつつも、定めた目標に向かってしっかりやっていきたいですね。
——選手たちへの思いや、願いはありますか?
中島:本気でサッカーをやってくれたらうれしいですし、そのためにも、サッカーだけに限らずいろんな部分で手を抜かずにやっていって欲しいです。サッカーでも勉強でも成長するチャンスはたくさんあると思うので、「自分を高める場所から逃げずに両方ともやれよ」とは伝えています。一年間戦う中で「本気で取り組んだ」と思えるような瞬間を迎えて欲しいと思います。
馬場悠生選手 インタビュー
——選手権での結果をどう受け止めていますか?
馬場:格上を相手に先制できましたが、後半で集中力が切れてしまったのが課題だと思いました。試合の初めから終わりまで皆で声を出し合いながら集中して勝てるようにしていきたいです。
——私立との違いはどんなところに感じますか?
馬場:個々のスキルや、フィジカルの強さもありますし、足の速さや連携などにも違いを感じました。常にコミュニケーションを意識していく必要があるのを実感しました。
——総体、選手権と出場した経験から、来年に向けての課題などは見えましたか?
馬場:まだ今は声があまり出ていないので、そこから始めていきたいですね。練習から声をもっと出していきたいですし、士気を高めながら連携をとって、チーム一丸となって勝てるようになりたいです。失点した後の切り替えも課題なので、たとえ失点してもすぐに1点を取り返しに行けるような勢いを出していきたいです。
——来年の総体や選手権では、どんなチームの姿になっていたいですか?
馬場:今年負けてすごく悔しかったので、来年は私立が相手だろうと圧倒できるような、威圧感のあるチームになりたいです。
―—勉強と両立しながらプレーすることへの思いは?
馬場:勉強だけじゃ学校生活もつまらないと思うので、スポーツをしながら皆とコミュニケーションをとって、より学校生活を楽しくできます。それで勝てたらなおさら良いですね。今年負けて悔しい思いをしたからこそ「選手権まで残ろう」という気持ちが強いです。
西沢太耀選手 インタビュー
——選手権での結果をどう受け止めていますか?
西沢:Uスタに行くつもりで臨んだので、「勝たなきゃいけない試合だった」というのが正直な感想です。自分たちのミスから失点してしまったので、そういう簡単なミスを許さないような感じでやっていけたらと思います。
——チームの今後の課題は何ですか?
西沢:先制されると厳しいな、という感じだったので、だからこそ無失点に抑えることを意識していました。0-0で終わる想定もしていた中で、もっとPKを練習しておけばよかったという気持ちもあります。
——来年の総体や選手権では、どんなチームの姿になっていたいですか?
西沢:先輩たちに比べて高さはないですが、個人技については引けを取らないと思っています。個の能力で崩せる力をもっと磨きながら、全員の力を組み合わせて、私立に勝てるチームになっていたいです。 練習から厳しくやっていく必要がありますし、強豪チームに対しても0-0で終わるのではなくて、しっかり相手を研究して対策していくことも必要だと思います。
——上田高校でプレーすることにはどんな意味がありますか?
西沢:公立で勉強を頑張りたいと思っていたこと、人工芝グラウンドがあることも理由ですが、東信の決勝などで私立にも引けを取らない戦い方を見て、「こういうところで勝ちたい」と思いました。中学で一緒にプレーしていた仲間は今も選手権を勝ち進んでいて、彼らに負けたくないという思いがあります。
——来年へ向けての意気込みをお願いします。
西沢:全員で熱い気持ちを持って、強豪私立にも臆することなく、てっぺん目指してやっていけたらと思います。
取材・撮影/佐藤春香