新たな挑戦のときが来た。
新聞社時代に信州のスポーツを報じるようになってから14年目、スポーツライターを名乗って活動を始めてから7年目。サッカー、バスケットボール、バレーボール、フットサルなど各種競技の県内トップを取材のライフワークとする傍らで、どこかしら物足りなさも感じていた。
プロスポーツはヒエラルキーの頂点として存在し、それが人気を集めて地域が活性化すること自体は大いに喜ばしい。ただ、それに至るまでの「普及」「強化・育成」にまで目を配らねば、詰まるところ信州のスポーツに真の意味で寄り添えていないのではないか――。そんな思いを心の片隅に抱えながら、目の前のタスクに追われる日々を送っていた。
そんなおりにCLIMAX創刊の打診をいただいた。
一も二もなく首を縦に振った。
企画段階から鶴見社長と膝詰めで話を進めていき、実現までのロードマップを描き出した。スポンサー各位や長野県サッカー協会さま、長野県高校体育連盟さまなど各方面のご協力もいただき、本格的にスタートを切れることとなった。この場を借りて感謝を申し上げたい。
そして4月のシーズン開幕から、継続してあちこちの現場に出没させてもらっている。人工芝の照り返しに灼かれながら1日3試合を撮影・取材することもある。オセロのようにコントラストを描く腕の日焼けは、それだけ取材したという勲章。自己満足だが、そんな非合理的なこだわりが一つくらいあっていいだろう。
CLIMAX(雑誌)を渾身の文字で埋め尽くすのは大枝令、田中紘夢の2人だ。この地が持つ魔力に吸い寄せられて酔狂にもスポーツライターを名乗り、サッカー専門紙エル・ゴラッソでそれぞれ松本山雅FC、AC長野パルセイロを担当。長年の経験と気鋭の筆で化学反応を起こし、信州高校サッカーのほとばしるエネルギーを余さず活写していく。
新たな挑戦のときが来た。
皆さんが手に取って、読みたいと思ってもらえる雑誌を作れるかどうか。個人的には分水嶺であり、天下分け目の戦いである。むき出しの自分の価値を世に問うとき、鼻の奥がツンとする。今回もそんな瞬間を味わいながら過ごす日々。シーズンの最後にスペシャルな雑誌をお届けするのが私たちにとって最大のCLIMAXであり、それに付随してウェブ展開やフォト販売などのサブプロジェクトを繰り出していく。
乾坤一擲。賽は投げられた。
どうぞ、ご堪能あれ。